65歳以上の方に見られるうつ病は、「老年期うつ病」と呼ばれます。
気分の落ち込みだけでなく、疲れやすい、眠れない、食欲がないなど、身体の不調が目立つことも特徴です。
また、認知症と似た症状が現われることもあるため、本人やご家族が変化に気づき、早めに医療機関へ相談することが大切です。
●うつ病にはさまざまな要因が関係
うつ病は、精神や身体にストレががかかる状態が続きヽ脳が機能低下を起こすことで発症する精神疾患です。
【精神的ストレス】
人間関係や仕事上の悩み、喪失感、真面目すぎる性格、生活環境の変化など。
【身体的ストレス】
過労、生活習の乱れ、なんらかの病気など。
【脳の機能低下】
脳が活動するためのエネルギーの不足、脳神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)の分泌や働きの低下、思考に関係する脳の部位(前頭前野など)の機能低下、脳の神経ネットワークの異常など。
●心と身体に現れるさまざまな症状
うつ病によって脳が機能低下を起こすと、
心身にはさまざまな症状が現われます。
【精神的症状】
気持ちの落ち込み、憂欝、不安や焦燥感、興味や喜び・楽しみの喪失、意欲・思考力・集中力の低下、自己否定、罪悪感、希死念慮(死にたい、消えたいといった感情)など。
【身体的症状】
疲労・倦怠感、睡眠障害、食欲の低下・過食、頭痛、首・肩のコリや痛み、胃腸の不調、めまい、動悸、息苦しさ、便秘、下痢など。
【身体的症状】
疲労・倦怠感、睡眠障害、食欲の低下・過食、頭痛、首・肩のコリや痛み、胃腸の不調、めまい、動悸、息苦しさ、便秘、下痢など。
●シルバー世代のうつ病は気づきにくい
老年期うつ病の患者には、ほか世代とは原因や症状に、やや違た特徴が見られます。
この点、本人やご家族が見逃さないようにして、早期の受診につなげることが大切になります。
老年期うつ病の原因としてあげられるのは、喪失感、加齢による病気やけが、生活環境の変化です。
れらのことが、ライフステ
-ジにおいて重要な出来事となるためです。
症状にも、いくつかの特徴があります。
若い世代では、抑うつ状態(気持ちの落ち込みや憂饉な感情)がきっかけとなって、うつ病に気づくことが多くあります。
一方、65歳以上の方の場合には、抑うつ状態よりも、不定愁訴(検査しても原因が見つからない身体の不調・つらさ)から医療機関を受信して、精神科・心療内科でさらに調べるどうつ病だったというケースが増えてきます。
●認知症と似た症状に注意
老年期うつ病でもうひとつ大事なことは、認知症と見分けがつきにくい点です。
うつ病では、もの忘れや判断力の低下など、認知症に似た症状が現われることがあります。
こうした状態は、「仮性認知症」と呼ば れます。
老年期うつ病と認知症では、次のような違いもあります。
○老年期うつ病 もの忘れが増えたという自覚がある。病気の進行が比較的速い。
○認知症 もの忘れをしたこと自体、覚えていない傾向がある。病気の進行は数年かけて進行する。
(注意) ただし、こうした傾向だけでうつ病と認知症を完全に区別することはできません。
老年期うつ病は、認知症の発症:悪化のリスク要因となっています。放置せずに、かかりつけ医や精神科・診療内科などの医師に 早めに相談してください。
●適切な治療で回復を目指
老年期うつ病と診断され、治療が開始されたら、まずは休養を取って、十分に脳を休ませることが大切になります。
そして睡眠のリズムを整え、栄養のバランスを考慮した食事を摂ることで、脳のエネルギーを回復させていきます。
シルバー世代のうつ病の治療では、薬物療法や精神療法が行なわれます。
薬物療法では、比較的副作用の少ない薬が、医師によって適切に選択されて使用されます。
薬には、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳神経伝達物質の働きを高めて、抑うつ状態を改善する効果が期待できます。
精神療法では、認知行動療法(ストレスとなっている思考パターンや癖を見つけて改善する治療法)や、回想療法(過去の経験や 記憶を言葉にすることで、うつ症状を改善する治療法)などが行なわれます。
●周囲の気づきと支えが大切
老年期うつ病を発症したときに、本人やご家族が知っておきたいのは、適切な治療を受ければ、「うつ病は治る病気」であること です。
またうつ病の場合、「がんばれ」といった励ましの言葉が、かえって患者を苦しめることもあるのでで、ご家族や周囲の方が異変に気づいたら、対処の仕方を医師にアドバイスしてもらうことも必要です。
「死にたい」「消えたい」などの言葉が聞かれた場合は、決して一人にせず、早急に医療機関などで相談してください。.
資料提供:メディカルライフ教育出版