
日本においては、新たにがんと診断される人数(罹患者数) は年間約100万人です。
部位別にみると男女全体では、大腸、肺、胃、乳房、前立腺 などが多くなっています。
男女別では、男性では前立腺がん、女性では乳がんがもっと も多く、
それぞれ年間約10万人が新たに診断されています。
生活習慣の改善によるがん予防に取り組むとともに、
がんの 定期検診を受けて早期発見・治療につなげることが大切です。
●前立腺がん 早期発見で高い治療成績
前立腺は男性だけに存在する臓 器で、膀胱のすぐ下にあり、中央 を尿道が通っています。
前立腺か ら分泌される前立腺液は、男性の 生殖機能と密接に関わっています。
前立腺がんの多くは、前立腺の 外側(外腺)に発生します。
前立腺がんの初期では、前立腺肥大症でみられるような排尿障害 などの自覚症状は、ほとんどあり ません。
しかし前立腺がんが進行すると、 排尿困難や、頻尿、尿や精液に血液 が混ざることや、骨への転移によ る腰、背中、股関節への慢性的な 強い痛み、しびれといった症状が 起こります。
前立腺がんは、50代から増え始 めます。
年間死亡者数は約1万3千人で 推移していますが、早期に発見さ れ、前立腺内にとどまっている段 階で治療を行えば、5年相対生存 率はほぼ100%です。 前立腺がんの早期発見には、 「PSA検査」が有効です。
【PSA検査】
PSA(前立腺特異抗原)の血 中濃度を測定する検査です。
前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症 や前立腺炎でも数値が高くなるこ とがあります。
【治療法】
がんの進行度や悪性度、身体の 状態などによって治療法が選択さ れます。
がんが前立腺にとどまっている 場合は、放射線治療や手術療法な ど。
骨やリンパ節に広かっている ときは、ホルモン療法(がんの増 殖を抑える)や
抗がん剤などによ る薬物療法が検討されます。
※がんの性質によっては、すぐに 治療を始めず経過観察(監視療法) が選択されることもあります。
●乳がん---40歳からは定期検診を
乳がんは、乳管と小葉で構成さ れる乳腺にできるがんのことです。
がん細胞が、乳管や小葉の細胞 の壁のなかに止まっていれば「非浸潤がん」、
細胞の壁を破って周 囲に広がっている状態を「浸潤が ん」と呼びます。
乳がんの多くは浸潤がんで、 「手で触れるとしこりがある」と びうのが代表的な症状ですが、
浸潤性小葉がんのようにしこりのな いタイプもあります。
乳がんの早期発見のためには、 しこりの有無とともに、乳房の皮 膚にくぼみや引きつれがないか?
乳頭から血液の混ざった分泌液が 出ていないかなど、セルフチェッ クを行なうようにして、
異変に気 づいたらすぐに医療機関を受診し てください。
‘乳がんは、30代後半から増え始 め、40代後半~50代前半に罹患串 のピークを迎えます。
早期発見・治療による乳がんの 5年相対生存率は、非浸潤がん 100%、浸潤がんでもしこりが 2cm以下で、リンパ節や多臓器へ の転移がない状態であれば、99% となっています。
このため40歳以上の女性には、 2
年に一度の乳がん検診(マンモ グラフィ検査)が推奨されていま す。
【マンモグラフィ検査】
乳房専用のX線(レントゲン) 検査。
乳腺に沈着したカルシウム の微細な石灰化やしこりを、画像 によって知ることができます。
そ のほとんどは良性ですが、形状や 分布によってはがんの恐れもある ため、
早期発見の鍵となります.
【治療法】
がんの進行度や悪性度、がんの 性質(サブタイプ)、身体の状態 などによって、
手術療法、放射線 治療、薬物療法などを組み合わせ た治療が行なわれます。
●子宮頸がん予防のカギはワクチンと検診
子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんです。
原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によ ります(ただし、感染しても必ずがんになるわけではない)。
イギリスでは2008年に、学齢期の女子に対する子宮頸がんワク チン(HPVワクチン)の公費(無料)接種が開始されました。
その結果、2020~2024年の5年間にわたり、20~24歳の女吐で は、子宮頸がんによる死亡が記録されませんでした。
この研究は、 ワクチン接種世代で、子宮頸がんによる死亡が大幅に減少したこと を示しています。 日本においては、子宮頸がんで亡くなった方の人数 は、年間約2700~2800人となっています。また子宮頸がんは、20~30代の女陛を中心に、罹患率と死亡率 が増加傾向にあり、予防の重要性が高まっています。
子宮頸がんワクチンの有効性と安全性について WHOや厚生労働省は、多くの研究結果を踏まえ、対 象年齢の女吐などへの子宮頸がんワクチン接種を推奨 しています。
ワクチン接種と20歳からの子宮頸がん検診を組み合 わせることが、子宮頸がんの予防の大きな力になります。
資料提供:メディカルライフ教育出版