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アルツハイマー型認知症


 アルツハイマー型認知症は、発症原因やおもな症状、進行段階、ケアのポイントを理解することで、早期対応や適切なサポートにつながります。

●脳神経が徐々に破壊される

アルツハイマー型認知症イラスト

  認知症には、発症原因や部位により、いくつかの種類が存在します。 そのなかでもっとも患者数の多いのが、「アルツハイマー型認知症」で、認知症全体の約7割にの ぼります。

 【発症原因】
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβやタウタンパクが脳の海馬(記憶に関係する部位)など に溜まり、脳の神経細胞を破壊することで発症すると考えられています。

●体験そのものを覚えていない

  アルツハイマー型認知症の代表的な「中核症状(脳の機能低下による症状)」は、「記憶障害」です。

 【認知症による記憶障害】
○最近の出来事を忘れる。
○同じ話をなんども繰り返す(繰り返し質問する)。
加齢によるもの忘れと認知症による記憶障害の大きな違いは、「体験そのものを覚えていない」という点にあります 。
例えば、「昨夜、何を食べたか思い出せない」というのは多くの方に経験があるかと思います。
認 知症による記憶障害では、「食事をしたこと自体を覚えていない」という、体験そのものを忘れてしまいます。
本人が体験を覚えていないことは、その方の不都合だけでなく、周囲の人が困惑する事態へとつながっていきます。

●記憶障害のほかに見られる症状

  アルツハイマー型認知症では、記憶障害以外にもよく見られる中核症状があります。 

【見当識障害】時間や場所がわからなくなる。

 【判断力障害】適切な判断ができなくなる。 

【実行機能障害】順序立てて考えたり、計画的に行動することが困難になる。 

【失行】服を着るなどの習慣的な動作や行動ができなくなる。 

 記憶障害を含むこれらの障害は、複合することがあります。これにより、不安、焦燥感、意欲の低下、 うつ、徘徊、妄想、暴力・暴言、不潔行為といった、「行動・心理症状」が起こることがあります。

 

●4つの進行段階と治療

  アルツハイマー型認知症を含む認知症は、
前兆(軽度認知障害)➔初期(軽度)➔中期(中等度)➔末期(重度)
の4つの段階を経て進行していきます。

  前兆(軽度認知障害)段階は、正常な状態と認知症の境界にあたります。
この段階であれば、原因物質の蓄積を抑制するための治療薬によって、病気の進行を遅らせることが期待できます。
認知症の兆候にいち早く気づいて医療機関を受診することが重要になります。
同時に、中核症状や行動・心理症状をやわらげる薬物療法、運動療法をはじめとするリハビリテーション、高血圧や糖尿病といった病気の治療も、認知症の進行を遅らせることにつながります。

●必要となる介護とサポート

  アルツハイマー型認知症では、中核症状、行動・心理症状ともに病気が進むにつれて重症化していき、末期になると全面的な介護が必要になります。
ご本人やご家族は、介護保険サービスや介護施設についてあらかじめ調べておきましょう。
孤立することなく、病状の進行に合わせて適切なサポートを受けていくことが大切です。

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  認知症の原因物質であるアミロイドβを除去する効果が期待できる薬「ドナネマブ」「レ カネマブ」は、
ともに、軽度認知障害と軽度の認知症患者を対象にした認知症治療薬です。
金沢大学附属病院において、「ドナネマブを一年間投与した70代の女性から、アミロイド βの完全消失が確認された」という発表が行なわれました。
これは、国内では初めての治療の成功例になります。
この女性の場合は、「1時間前に電話で伝えられたことを忘れてしまうなどの症状が見ら れ、軽度認知障害の診断を受けた」ことから治療が始まりました。
アルツハイマー型認知症においては、ご自身やご家族がいち早く異変に気づくこと。
そし て放置せず、早急に医療機関を受診することの大切さを、今回の例は教えてくれます。


資料提供:メディカルライフ教育出版