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女性の3大良性疾患


 女性の3大良性疾患は子宮に関わる病気で、良性ながらもつらい症状をともなう ことが少なくありません。
日常生活だけでなく、妊娠にも大きな影響があります。
この記事では、それぞれの病気の特徴や症状、治療法についてわかりやすく解説 します。


●女性の3大良性疾患

女性の3大良性疾患 イラスト 「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮腺筋症」---この3つの病気が、女性の3大良性疾患と呼ばれています。

  「子宮筋腫」 子宮平滑筋(子宮の筋肉)にできる良性腫瘍(コブのようなもの)。
子宮筋腫は、大きさや数、発生する部位でさまざまな現われ方をし、
それによって症状の出方の有無や強弱、妊娠への影響などが変わってくる。

  「子宮内膜症」 子宮内膜組織(子宮内膜やそれに似た組織)が、
子宮の内側以外の場所(おもに腹膜(子宮の外側を覆う膜)や卵巣)で増殖する。
子宮内膜症が腹膜で起こると、腹膜が厚く硬くなって周辺の臓器と
癒着することで、激しい痛みが生じる。
子宮内膜症が卵巣で起こるとそこに経血が溜まって、「チョコレート嚢胞」と呼ばれる腫瘍になることがある。 

  「子宮腺筋症」 子宮内膜組織が子宮平滑筋に侵入して増殖することで発症する。 子宮腺筋症によって子宮筋層が肥厚化すると、重い月経痛や過多月経などを引き起こす。
子宮が肥大化することもある。

●良性疾患とは?がんとの違い

  女性の3大良性疾患に共通することのひとつは、「良性疾患(良性腫瘍)」であるという点です。
良性疾患(良性腫瘍)の特徴は、次のようになっています。

 ①腫瘍が周囲の組織に浸潤しない(広がらない)。 

 ②ほかの臓器などへの移転はない。 

③腫瘍が大きくなるスピードは比較的遅い。

これらとは反対の状態が見られるときは、悪性腫瘍(がん)が疑われます。
悪性疾患と違い、良性疾患が命に関わるケースはごく稀です。
ただ、良性腫瘍と悪性腫瘍を見極めることは、自己判断では不可能です。
産婦人科医による診察と、超音波、CT、MRI、血液検査、組織診などの検査が不可欠になります。

●女性ホルモンの過剰な分泌

  女性の3大良性疾患に共通することのふたつ目は、「女性ホルモン(エストロゲン)」との関連が深いという点です。
エストロゲンには、子宮内膜を増殖させて妊娠の準備を整える働きがあります。
しかしエストロゲンの過剰分泌などで、この働きに乱れが生じると、
子宮筋腫が大きくなったり、子宮内膜症や子宮腺筋症を進行・悪化させる要因となります。

●主な症状と日常生活・妊娠への影響

女性の3大良性疾患 イラスト  女性の3大良性疾患では、次のような症状が見られます。

 ○月経困難症(月経痛)

生理中の腹痛や腰痛、頭痛、吐き気 

○過多月経

     月経の出血量が異常に多い。

  経血に含まれる物質によって子宮が強く収縮し、痛みを引き起こす。鉄欠乏性貧血の原因ともなる。

  そのほかにも、不妊症、頻尿、便秘、下痢、性交痛といった症状が
起こることもあります。

●治療法は症状やライフスタイルに応じて

  女性の3大良性疾患においては、症状の有無や強弱、妊娠を含めたライフスタイルなどを考慮して、
医師と相談しながら最適な治療法を選択することが大切になります。

○経過観察

  軽度であったり、無症状の場合は、定期的に検査を受けて経過を見る。

 ○薬物療法 

 低用量ピルでエストロゲンの過剰分泌を抑え、月経通を緩和する。ホルモン療法によって子宮内膜の増殖を抑制したり、
一時的に閉経とにた状態にして、症状を改善する。

 ○手術療法

  子宮を温存して病巣のみを除去する方法や、今後の妊娠を希望しない場合はい 根治を目指して子宮全体を摘出する
「子宮全摘出術」がある。
術式としては開腹手術だけてなく、カメラと手術器具を挿入して、モニターに映る映像を見ながら行なう
腹腔鏡手術が現在は主流になっている。

資料提供:メディカルライフ教育出版